弁護士葛巻のコラム

2017.12.08更新

皆さん、こんにちは。

赤坂、青山、渋谷近郊の弁護士の葛巻瑞貴(かつらまき みずき)です。

今回の会社法の論点は、振替法と少数株主通知の時期について等です。

株式のペーパーレス化に伴い、個別株主通知の時期について議論を整理したいと思います。

 

1.株式振替制度と個別株主通知(少数株主権等)

そもそも、少数株主権等(振替法147条4項)とは、会社法124条1項に規定する権利以外の権利をいい、集団的権利行使以外の形で行使される株主の権利を指します。

そして、例えば甲が少数株主権等に当たる場合、これを行使するためには個別株主通知が必要となります。

それでは、個別株主通知はいつまでになされる必要があるでしょうか。

この点、個別株主通知は、振替法上少数株主権等の行使の場面において株主名簿に代わるものとして位置付けられており(振替法154条1項)、少数株主権等を行使する際に自己が株主であることを会社に対抗するための要件であると解釈されています。

そうだとすれば、申立人が株主であることを争った場合、その審理終結までの間に個別株主通知がされることを要し、かつ、これをもって足りると考えるべきとされています。

以下、具体的場面に即して見ていきます。

 

2.裁判所が介在している場合

募集株式の発行差止めの仮処分命令の申立て、172条1項の価格決定の申立て、株式買取請求権の申立て(116条1項、117条2項)等は、裁判所が介在しているため、上述の一般論通りで問題ありません。

 

3.株主提案権(303条1項・2項、305条1項)の場合

他方で、株主提案権の行使等、裁判所が介在せず、会社のみで処理する場合にはどう解すべきでしょうか?

そもそも、303条1項・2項、305条1項の趣旨は、会社に追加の議題及び議案の要領を招集通知に記載して、それを発送するための準備期間を確保することにあります。

そうだとすれば、株主提案権の行使期限である株主総会の日の8週間前までに会社が株主の株式継続保有要件の有無を確認することができるようにする必要があり、このときまでに個別株主通知がされることが必要と解されるでしょう。

もっとも、個別株主通知は自己が株主であることを会社に対抗するための要件であり、権利行使要件ではありません。

したがって、個別株主通知は、株主提案権に先立ってされる必要はないと解されています。

 

4.株主総会の議場における質問権(314条)や修正動議(304条)の提出

他方で、これらの権利は、総会に出席して議決権を行使できることから派生する不可分一体の権利であるから、議決権に準じて、基準日株主の権利に含まれると解されます。

よって、個別株主通知は必要とされません。

 

以上で,簡単ではありましたが、振替法上の個別株主通知の時期についての解説でした。

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投稿者: 弁護士葛巻瑞貴

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