弁護士葛巻のコラム

2017.09.08更新

皆様、こんにちは。

赤坂、青山、渋谷近郊の弁護士葛巻瑞貴(かつらまき みずき)です。

今回のコラムからは、会社法関係の論点をシリーズとして解説していきます。

まずは、手始めに一人会社から初めます。

 

1.一人会社が認められるか

まず、そもそも、一人会社とはどういう会社でしょうか?

一人会社とは、その名の通り、会社の構成員が一人である会社のことをいいます。

かつては、会社も社団法人であり、構成員が複数人いることが必要であるという議論もありましたが、一人会社を認める実益は大きく、これを認めても特段の不都合がないことから、現在では一人会社を認めることに異論はありません。

 

2.一人会社の株主総会の招集手続

株式会社では、株主総会には招集手続が必要であるとされています(会社法299条等)。

それでは、一人会社でも株主総会の招集手続を履践することが必要なのでしょうか?

そもそも、招集手続の趣旨は、株主に総会への出席の機会を確保し、また準備のための時間的余裕を与えることにあるとされています。

そうだとすると、株主全員が総会の開催に応じている場合には、その利益を放棄していると考えることができます。

したがって、一人会社では、構成員が一人である以上、原理的に株主全員が株主総会の開催に応じている場合に当たるといえるため、株主総会を開催するに当たって招集手続は不要であると考えられています。

 

3.一人会社の承認を欠く利益相反取引

一人会社の一人株主が(代表)取締役で、この一人会社が取締役会設置会社である場合、一人会社と当該取締役が利益相反取引を行ったとすると(取締役個人の不動産を一人会社が買い受けた場合など)、このような場合でも、会社法365条1項の取締役会の承認が必要となるのでしょうか。

そもそも、会社法356条1項2号・3号及び同法365条1項の趣旨は、取締役の権限濫用を防ぎ、もって会社の利益を確保することにあるとされています。

そうだとすると、実質的な会社の利益の帰属主体たる株主全員が承諾しているのならば、取締役会の承認は不要としてもよいと解釈できます。

したがって、一人株主の場合には、その一人株主が利益相反取引を承認しているとみなされるため、利益相反取引に際し、取締役会の決議は不要であると考えられています。

しかし、当該取締役(一人株主)は、善管注意義務違反・忠実義務違反等は別途問題になり得るため、かかる利益相反取引により、第三者に対する損害賠償責任(会社法429条)を負う可能性があるので注意が必要です。

 

4.一人会社の承認を欠く譲渡制限株式の譲渡

それでは、一人会社が譲渡制限会社である場合、一人株主が全株式を譲渡した場合はどうなるのでしょうか?

非公開会社である以上、会社の承認が必要となるのでしょうか?

そもそも、譲渡制限制度の趣旨は会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、他の株主の利益を保護することにあるとされています。

そうだとすると、一人株主が全株式を譲渡した場合、株主が一人しかいないため、他の株主の利益保護が問題となる余地はありません。

したがって、非公開会社である一人会社の一人株主が全株式を譲渡する場合、会社の承認は不要であると解されています。

 

以上で、会社法論点解説シリーズの「一人会社」でした。

次回も、会社法の論点について解説していきます。

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投稿者: 弁護士葛巻瑞貴

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