弁護士葛巻のコラム

2017.09.07更新

皆様、こんにちは。

赤坂、青山、渋谷近郊で弁護士をやっております、葛巻瑞貴(かつらまき みずき)です。

さて、今回は、離婚の際に、どのようにして親権者が定まるのか、親権者指定の判断基準について簡潔に述べたいと思います。

 

1.親権者指定の基本方針

裁判実務では、親権者を指定する際、

・過去の養育状況

・現在の監護養育状況

・将来の監護養育の計画

の3つの要素を勘案して、総合的に子の福祉に沿うのかを判断しています。

以上が、親権者指定の際の基本方針となります。

やはり、諸般の事情を総合的に考慮して、「子にとって何が一番幸せか」を判断することになります。

以下、より具体的な考慮要素をみていきます。

 

2.監護の継続性維持の原則・主たる養育者優先の原則

一方当事者の下で一定期間以上平穏に生活している場合、現状を尊重するのが原則とされています(もちろん、例外もあります)。

そして、この考慮要素は、出生から現在に至るまでの全体から検討されるべきとされており、従前の主たる養育者が現在の監護権者ではない場合、子の発達段階によっては、従前の主たる養育者を優先すべき場合もあります。

また、子の現在の環境への適応状況も考慮されるべきであるとされています。

 

3.乳幼児期における母性優先の原則

一般的に、乳幼児期においては、母親が優先されると考えられていますが、この「母性」優先の原則を機械的に当てはめるのは妥当ではありません。

あくまで、母性的な役割を持つ監護権者を優先するという趣旨と捉えるべきです。

例えば、父側に有力な監護補助者(祖父母等)がいる場合など、父親側が母性的な役割を果たしうる場合も多く存在します。

 

4.子の意思の尊重の原則

子の年齢及び発達の程度に応じて、子の意思を尊重しなければならないとされています。

一応の目安としては、10歳前後からは、ある程度考慮されています。

なお、明確に意思を表明できるかなど、子の発達段階に応じた適切な評価が必要です。

 

5.兄弟姉妹不分離の原則

一般的に、兄弟姉妹の親権を分属することが「子の福祉」に適うものとは言いがたいことから、兄弟姉妹は同一の親権者を指定すべきといえますが、これは、補充的な原則にとどまり、諸般の事情から親権を分属せざるを得ない場合もあり得ます。

 

6.面会交流に対する寛容性重視の原則

親権者になった場合に、非親権者と子の面会交流を認める意向を有しているかという基準です(いわゆる、フレンドリーペアレントルール)。

一般的に言って、面会交流に対して積極的な方が、「子の福祉」の観点からして望ましいと思われますが、これも決定的な基準ではなく、あくまで一つの要素に過ぎません。

 

7.その他の事情

・親権者側の事情

親権者の適格性として、監護能力(監護意欲・能力、健康、性格、経済力、愛情等)、監護補助者の有無などが考慮されます。

・子の事情

心身の発育状況、環境変化への適用能力、健康状態、情緒安定、年齢、兄弟関係などが考慮されます。

 

8.総合考慮

以上の要素を総合考慮して、父母のうち、どちらを親権者に定めるのが「子の福祉」に適うかという観点から判断されます。

したがって、上記要素のうちこの要素が存在すれば親権を取れる、などという形式的な判断は不可能であり、子の幸せを基準とした総合的な判断がされているのです。

 

以上が親権者の指定に関する判断基準の概要です。

子の親権者の指定の問題や、離婚等でお悩みの場合には、弁護士葛巻にお任せください。

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投稿者: 弁護士葛巻瑞貴

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